日本通信ビジョン2030
日本通信ビジョン2030
本ページでは、当社が策定した「ビジョン2030」の概要をご紹介します。
当社は1996年の創業以来、世界初のMVNOとして通信業界に新たな潮流を生み出してまいりました。その後、MVNO市場への参入が相次ぎ競争が激化する中、長期にわたり持続的に成長するためには、当社独自の技術基盤を構築し、それを競争力の源泉とする必要があると考え、2016年に「新事業戦略」を策定しました。この戦略に基づく10年間の取組みにより、通信事業ではNTTドコモとの音声網・SMS網との相互接続実現の道筋を築き、FPoS事業では実証実験を経て、商用化段階に到達しました。
創業30周年を迎える2026年、この技術基盤をベースとして通信サービス事業とデジタルトラスト事業の双方を成長させ、「安全安心インターネット」の実現を目指す「ビジョン2030」を策定しました。「デジタルに『信頼』を取り戻す」取り組みを進め、2030年度に売上650億円・営業利益150億円の達成を目標としています。
目次
ビジョン2030全文ビジョン2030策定の背景
2026年11月にNTTドコモの音声網及びSMS網と相互接続をした場合は、当社は総務省から割り当てられた番号を利用し、自らSIMを発行することで、データ・音声・SMSを含むフルレンジの通信サービスを提供する「ネオキャリア」となることが可能になります。
一方、連結子会社my FinTech株式会社は、当社の特許技術FPoS(FinTech Platform over Security module)を活用したデジタル認証基盤を構築し、電子署名法の認定を得た電子認証局によって、本人確認・当人認証・電子署名・データ連携に用いる電子証明書を発行しています。
ネオキャリアとなった場合、当社が発行するSIMに電子証明書の秘密鍵を生成・保有することで、通信とデジタル認証を組み合わせた新たな通信サービスを提供できるようになります。この新たな事業モデルを2027年3月期に開始する予定であることから、その将来像を示す「ビジョン2030」を策定しました。
デジタル認証基盤
「ビジョン2030」の本質は、当社独自のデジタル認証基盤にあります。この基盤をベースに「通信サービス事業」と「デジタルトラスト事業」を展開します。既存の通信網やマイナンバーカード制度という既存の社会インフラを活用することで、過剰な設備を生み出すことなく、効率的に事業展開していきます。
携帯電話のSIMを使う通信は、暗号鍵をハードウェア内で安全に管理することで、高い安全性を確保しています。当社はこの原理をスマートフォンに応用し、特許技術「FPoS」を開発しました。
FPoSでは、電子署名法の認定を得た電子認証局がマイナンバーカードをトラストアンカーとして電子証明書を発行するとともに、その秘密鍵をSIMやeSIM、スマートフォン内のSecure Element等のハードウェアで保護された領域に生成・保有します。これにより、スマートフォンの利用者一人ひとりに、第三者による改ざんの恐れのない、特定の個人を認証するデジタルIDを発行することができます。
さらに、人だけでなく機器にも電子証明書を発行し、IPレイヤーやコンテンツレイヤーまで安全性を広げることが可能です。SIMの秘密鍵はGSMAが認定する電子認証局が管理しており、当社は同認定の取得準備を進めています。認定取得によって、2027年度中に当社電子認証局から世界中のeSIMへのアクセス実現を目指します。
この電子認証局と関連する認証基盤からなる「デジタル認証基盤」が、「通信サービス事業」と「デジタルトラスト事業」の双方を支えています。
通信サービス事業
通信サービス事業では、大手携帯電話事業者(MNO)の通信網を活用して、当社が通信サービスを提供します。現在提供している主なサービスは「日本通信SIM」ですが、ネオキャリアとして、新ブランドで新たな通信サービスの提供を開始する予定です。当社は、ネオキャリアになることで広がる可能性を以下のとおり捉えています。
顧客層・販売チャネルの拡大
ネオキャリア化により、複雑な初期設定が不要となるほか、海外ローミングも可能になるなど、通信サービスの利便性が大幅に向上します。これにより、幅広い顧客層への提供と、オンライン販売に加え店頭販売へのチャネル拡大が可能になります。
ハードウェアの販売
日本通信 SIM はこれまで通信サービスのみを提供してきましたが、ネオキャリアとしてのサービス提供を契機に、デジタルトラスト事業を活用した与信提供により、スマートフォンやIoT機器などの取り扱いも検討しています。
IoT分野の拡大
IoT向けの安全・安心な通信として、官公庁及び企業に対し、特許技術である無線専用線やSIM間通信を提供しています。これまではデータ通信のみで制御していたため、常時接続が必要となり、コスト増加や安全性の低下という問題がありました。
ネオキャリアでは、音声網/SMS網を使ってIoT機器を呼び出すことが低コストでできるようになります。さらに、IoT機器内のeSIMのSecure ElementをFPoSによるデジタル認証に活用することで、当該機器からの通信であることを確認することができるため、コストの低減及び安全性の向上を実現することができます。
デジタルトラスト事業
デジタルトラスト事業では、デジタルに「信頼」を取り戻すための技術、プラットフォーム、ソリューションを提供します。インターネットの普及に伴い、デジタル情報の発信元や内容を容易に信頼できない状況が広がる中、当社は特許技術FPoS及び関連技術を活用し、my FinTechがマイナンバーカード制度を活用したデジタルトラストサービスを提供しています。
FPoSは、信頼の礎となる「本人確認(身元確認)」「当人認証(ハッキングされないログイン認証)」「電子署名」の3つの機能を提供します。さらに、この信頼を基盤として、本人の明示的な許諾のもと、事業者を超えたパーソナルデータの連携を可能にします。
地域金融機関、自治体、地域通貨、交通、大学、企業などへFPoSの採用が広がることで、事業者を超えたデータ連携が進み、新たな価値を持つサービスの創出につながります。当社は、デジタルトラスト事業には極めて大きな可能性があると考えており、当面の取り組みとして、その可能性を以下のとおり捉えています。
属性認証局の開設による属性証明書の発行
電子認証局に加え、学籍・所属・資格等を管理する「属性認証局」を開設し、個人の属性を電子証明書として発行します。本人であることに加えて、学生・社員・役職・専門資格などの属性をデジタルで証明することで、大学や企業のアクセス制御、有資格者の確認など、社会の幅広い場面で必要とされるトラストサービスを提供することができます。
機器(マシン)に対するデジタルIDの発行
人だけでなく、IT機器、自動車、家電製品等にもデジタルIDを発行し、特定の機器(マシン)の存在を認証できるようにします。人と機器の双方がデジタルIDという信頼の基盤を持つことで、例えば、自動車が利用者を認証し、その人に適した走行条件や保険条件、各種サービスを提供するなど、人と機器を安全につなぐ新たなサービスが考えられます。
Sovereign AI(主権 AI)の基盤としての展開
機器(マシン)のデジタルIDを活用し、機器が生み出すデータに電子署名を付与することで、「どの機器が、いつ生成したデータか」を確認し、AIの学習・推論に用いるデータの信頼性をハードウェアレベルで担保します。
さらに、人と機器双方のデジタルIDを活用することで、AIに対するデータの「提供者」と「生成元」を電子署名によって確認することが可能になります。これにより、AIが利用するデータの信頼性を確保し、Sovereign AI(主権AI)を支える信頼基盤としての展開できるようになります。
ビジョン2030の数値目標
| 売上高 | 営業利益 | |
|---|---|---|
| 通信サービス事業 | 500億円 | 75億円 |
| デジタルトラスト事業 | 150億円 | 75億円 |
| 連結合計 | 650億円 | 150億円 |
Adjusted EBITDA(調整後EBITDA)
「ビジョン2030」では、ネオキャリアとなり、またネオキャリアであり続けるための投資に伴い、ソフトウェアや設備等の減価償却費の増加が見込まれ、会計上の利益が一時的に影響を受ける可能性があります。このため、当社のキャッシュ創出力を把握する指標として、調整後EBITDAを重要な補完指標に位置づけています。
調整後EBITDAマージンは、2023年度の18.4%から2025年度の13.1%へ低下していますが、これは将来の成長に向けた先行投資や事業拡大に伴う費用増加によるものです。「ビジョン2030」では、通信サービス事業の継続的な成長とデジタルトラスト事業の立ち上がりによる売上成長によるスケールメリットを通じて、固定費負担を相対的に軽減し、調整後EBITDAマージン20%超の実現を目指します。
(調整後EBITDA = 営業利益 + 株式報酬 + 資産除去債務に係る費用 + 減価償却費 + 一時的費用)
| 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2030年度目標 | |
|---|---|---|---|---|
| 調整後EBITDAマージン | 18.4% | 15.6% | 13.1% | ➜ 20%超 |
ROIC
「ビジョン2030」では、負債を活用した成長投資を行うことから、負債と株主資本を含む投下資本全体の効率性を示すROICを重視しています。そのため、ROICがWACCを上回る状態の維持・拡大を経営指標とし、2030年度にROIC 25%の達成を目指します。
| 2025年度 実績 | 2030年度 目標 | |
|---|---|---|
| ROIC | 12.6% | ➜ 25% |
| WACC | 4.5% | 外部環境に応じて変動 |
| ROICスプレッド | 8.1% | 維持・拡大 |
人的資本
当社は、前例のない事業を自ら切り拓いてきた企業として、「0から1」を生み出し、「1を100」へ成長させるマネジメント人材、高度な専門性を持つプロフェッショナル人材、事業領域を横断して活躍するマルチタレント人材の確保・育成を重視しています。
これらの人材が一体となって新たな技術やサービス、事業モデルを創出し、事業環境の変化に柔軟に対応できる組織を構築することで、「ビジョン2030」の実現を支えていきます。
詳細については以下からご覧になれます。
ビジョン2030全文