日本通信株式会社(以下、「当社」という)は、FPoSについて、NFCタッチ認証に対応するための技術開発を進めております。このたび、2025年9月17日に、JINS PARK前橋内の店舗(JINSおよびエブリパン)にて、FPoSを活用したNFCタッチ決済の実証実験を実施いたしましたので、お知らせいたします。
今回の実証実験は、FPoSを活用したNFCタッチ決済の商用化に向けた重要なマイルストーンとなるものです。
FPoSは、お客様のスマートフォン(iPhoneおよびAndroid)(以下、「スマートフォン」といいます)において、以下の方法で認証を行う仕組みです。
- 1)スマートフォンにFPoSを搭載する際に、お客様のマイナンバーカードのICチップに搭載されている秘密鍵と電子証明書によってお客様の身元確認を行い(公的個人認証サービス:JPKI)、
- 2)電子署名法に基づく認定を受けた電子認証局が、スマートフォンに内蔵されている安全な領域(セキュアエレメント)内で秘密鍵を生成するとともに電子証明書を発行し、
- 3)電子証明書に記録された公開鍵と秘密鍵の組み合わせにより、お客様の当人認証(本人に間違いないこと)を行うとともに、真正性(お客様の意思が改ざんされていないこと)を担保します。
FPoSによる確実な身元確認と当人認証を最大限に活用しているのが、群馬県前橋市の電子地域通貨「めぶくPay」です。現在、「めぶくPay」では、FPoSを活用して安全に利用できるQRコード決済サービスを提供しておりますが、今後は、さらに利便性の高いNFCタッチ決済サービスの実現を目指しています。
ただ、NFCタッチ決済には、大きく2つの課題があります。1つは、多くのNFCタッチ決済において、おそらくはセキュリティ上の理由から、1万円~2万円程度の上限が設定されており、これを超える取引は通常のクレジットカード決済に切り替える必要があることです。NFCタッチ決済で、上記の上限金額を超える高額決済(別途規制を考慮する可能性はありますが、例えば1,000万円規模の決済)に対応するには、十分なセキュリティ技術を実装することが求められます。
もう1つは、街中の小規模店舗がNFCタッチ決済に対応するには、NFCタッチ決済に対応するための決済端末を導入するなどの一定の投資が必要となるため、十分に普及していないことです。
このような背景のもと、当社は、高額決済に対応することができ、かつ、小規模店舗も大規模店舗も導入しやすいNFCタッチ決済を目指し、NFC通信を介してお客様と店舗が電子証明書を受け渡し、決済サーバーを通じてFPoS認証サーバーで署名検証を行う、確実な認証・決済の仕組みの実現に取り組んでまいりました。
実証実験の概要と成果今回の実証実験では、Androidスマートフォンを使用し、実際の店舗での購買行動において、NFCタッチ決済による一連の処理(スマートフォン・店舗端末・決済サーバー・FPoS認証サーバーの往復)についてお客様が体感する速度を確認するため、JINS PARK前橋およびエブリパン、めぶくグラウンド株式会社、フェリカネットワークス株式会社にご協力をいただき、JINS PARK前橋内の店舗(JINSおよびエブリパン)において、群馬県前橋市の電子地域通貨「めぶくPay」のQRコード決済を実験用のNFC決済に置き換え、FPoSを活用したNFCタッチ決済で商品を購入していただきました。
その結果、少額決済(スマートフォンのタッチ操作のみで完結)のみならず、高額決済(FPoS認証サーバーで署名検証を実施)においても、お客様および店舗のいずれの立場からも、決済処理の速度が実用に耐えられるとの評価をいただくことができ、十分に実用可能であることが確認されました。
株式会社ジンズホールディングス 常務執行役員 松田 真一郎氏のコメント「FPoSライブラリがNFCに対応することで、小規模店舗においてはスマートフォンのみでタッチ決済を実現でき、大規模店舗においてもPOSシステムとの連携を最小限の改修で可能にすることができます。JINSは、このような取り組みに積極的に協力しながら、ご来店いただくお客様の体験価値を一層高めるとともに、地域経済の発展に寄与してまいりたいと考えております。」

当社は、次の段階では、POSレジのNFC読み取り端末における動作確認および検証を重ね、商用化に向けた開発を進めてまいります。商用化にあたっては、FPoSライブラリ(デジタル認証モジュール)にNFC機能を実装する想定です。
当社は今後も、安全・安心にビットを運ぶことを使命とし、サービス・製品を通じて社会に貢献し、持続可能なデジタル社会の構築と企業価値の向上を目指してまいります。
■日本通信について
日本通信株式会社は、1996年の創業以来、通信業界に革新をもたらし、MVNO市場を切り拓いてきたパイオニアです。シンプルで合理的なモバイル通信サービスを中心に事業を展開し、安定した収益モデルを確立しつつ、さらなる成長を目指しています。特許技術を活用した無線専用線「閉域SIM間通信」やデジタル認証技術「FPoS」を強みとし、認証技術をコアにモバイル通信サービス及びデジタル認証基盤の提供にも注力しています。国際セキュリティ基準PCI DSS認定を取得したモバイル専用線は警察や銀行などの厳しい分野で採用。FPoSは世界最高水準のセキュリティと利便性を両立しています。「安全・安心にビットを運ぶ」というミッションのもと、国境を越えた安全なモバイル環境の社会インフラ構築を目指し、持続可能な成長と企業価値の向上に取り組んでいます。