日本通信株式会社
No26
2001年8月22日
<参考>
MVNO(Mobile Virtual Network Operator)は、仮想移動体通信事業者を意味し、1999年に英国の電子通信庁(OFTEL)が使い始めた言葉である。その特徴を一言で表すならば、「ユーザーに直接携帯電話サービスを提供しているが、周波数の割り当てを受けていない事業者」ということになる。一方、日本におけるNTTドコモやauのように帯域の割り当てを受けている事業者は、Mobile Network Operator(MNO)と呼ばれている。
MVNOの特徴は、MNOのネットワークの一部を利用してサービスの提供を行うところにあるが、なかでも無線基地局以外のすべてのネットワーク機器を所有して通信事業を行う業者、すなわち"フルMVNO"が、欧州を中心に勢力を伸ばしている。日本では、現行法制度上、インフラを完備したフルMVNOとして活動するのは困難である。
そこで、日本でも比較的簡単に事業を立ち上げることができるMVNOの亜種として最近注目を集めているのが、MNOから卸値で回線を仕入れ、それにデータ・サービスや高度な課金処理などの付加価値をつけてユーザーに販売するという、移動体通信サービスの小売業だ。
この手法でも、MVNOは自前の課金システムや流通チャネルを駆使することによって、新しいかたちのワイヤレス通信を提供することができるわけだ。
MVNOの大きなメリットとしては、
1.MNOの余剰帯域から収入を上げられる
2.ブロードバンド成功のカギと見られているコンテンツやサービスに長けた企業を多数呼び込むことができる
3.インフラを持たずに、ブロードバンド・モバイルを速やかにビジネスに活用できる
4.ユーザーの選択肢が格段に広がる
――などが挙げられる。
同じアジアでも香港は、次世代通信の免許交付にあたって、4社の免許事業者にそれぞれ30%以上の帯域をMVNOにリースするよう義務づけることになっている。また、英国のヴァージン・モバイルは、ワン・ツー・ワンという名称のMVNO事業に1999年11月から参入し、ユーザーの使い勝手の良さを徹底的に追求して2001年4月には加入者を100万人の大台に乗せ、世界を驚かせた。ヴァージンはすでに、オーストラリア、シンガポール、米国そして日本でもMVNO事業を展開することを宣言している。欧州全域では、現在約20社のMVNOが名乗りを上げており、うち半分が商用サービスを提供している。
こうした世界の動きに対して、日本でもMVNOの誕生へ向けた取り組みが始まりつつある。総務省は、すでに「国内においてMVNOの活動は何ら制限されていない」との見解を発表。逆にそうした新事業を支援していく方針を打ち出している。
このように、MVNOはとかく閉鎖的な日本のワイヤレス市場に、異業種からブランド力や販売力のあるコンテンツ・プロバイダー、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)、携帯端末メーカーなどを引き込むことができる魅力を秘めたジャンルであり、市場を活性化させるだけでなく、ユーザーに自分のライフ・スタイルに合ったサービスや好みのブランドを選ぶ自由を与えることができる。
こうした取り組みを積極的に進め、ワイヤレス市場に数多くの"MVNOベンチャー"が誕生するようになれば、IT市場においては欧米に大きく遅れを取った日本が、ワイヤレス市場で世界をリードする可能性はきわめて高い。
※CIOマガジン2001年9月号「ワイヤレスの世界を変えるMVNO」(日本通信CTO中井 純 執筆)より
■日本通信について
社名: | 日本通信株式会社(大証ヘラクレス市場:9424) |
代表者: | 三田聖二(代表取締役社長) |
資本金: | 41億5,197万円 |
設立: | 1996年5月24日 |
事業内容: |
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*記載されている会社名および製品名は各社の商標または登録商標です。