電気通信事業法に基づく意見申出についてのお知らせ
2010年4月19日
電気通信事業法に基づく意見申出についてのお知らせ
日本通信株式会社(以下、「当社」という)は、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下、「NTTドコモ」という)が法人向けの相対取引で提示している料金について、MVNO向けの卸料金より著しく低廉であり、また、原価を下回る可能性が高いものとして、公正取引委員会と総務省が定める「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」に則り、本日、電気通信事業法第172条に基づく意見申出をいたしましたので、下記のとおり、お知らせいたします。
- 1.意見申出書の提出に至った経緯
- 当社は、本年2月4日に平成22年3月期第3四半期決算を発表した際、携帯電話事業者による不当廉売や営業妨害に該当するおそれのある行為が認められることを公表いたしました。当社は、この公表の前後を通じ、再三にわたりNTTドコモに本件の解決を申し入れるとともに、当社としてできる限りの営業努力を行ってまいりました。しかしながら、その後、NTTドコモの販売手法には何らの改善も見られない状況です。
- 電気通信事業法において、独占事業体としてドミナント規制を受けているNTTドコモが原価を下回る可能性の高い販売を行っていることは、電気通信事業分野における公正な競争環境を著しく阻害するものであり、極めて重大な問題です。しかしながら、これは、一民間企業である当社のみで解決できる問題ではありません。
- そのため、当社は、監督官庁である総務省及び公正取引委員会にこの問題の判断を委ねるべく、本日、NTTドコモの販売手法は「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針(公正取引委員会 総務省 平成20年8月19日最終改定)」に照らし、電気通信事業法及び独占禁止法に違反しているおそれが極めて高いものとして、電気通信事業法第172条に基づき、総務大臣に対し意見申出書を提出いたしました。
- 当社は、総務省及び公正取引委員会が本件について徹底した調査を実施することにより真実を究明し、然るべき方法により再発防止を徹底し、さらに関連諸問題の解決に必要なあらゆる措置を講じられるものと信じています。
- なお、今回の意見申出は不当廉売及び差別的取扱いに関するものですが、その他、
営業妨害等の問題について、今後、状況の改善が認められないようであれば、当社は、今回の意見申出とは別に、必要な対策を行ってまいります。
- 2.意見申出の概要
- 当社は、意見申出書において、NTTドコモが提示した料金、及び、当社が相互接続協議において入手したNTTドコモの原価情報等の資料を添付するとともに、これらの資料を比較分析し、NTTドコモが提示した料金が同社の原価を下回っている可能性が高いことを主張しています。
- なお、当社は、NTTドコモとの相互接続協議において、同社に対する守秘義務にもとづいて同社の原価情報等を入手したことから、上記の点についてその可能性が高いことを主張することができたものですが、同様の理由から、詳細な数値を開示することはできません。
- 3.当社の見解
- 当社は、NTTドコモとの相互接続に基づき、同社のネットワークを利用したMVNO事業を行っています。NTTドコモと当社の相互接続が実現した後の2年弱の間に、当社と同様にNTTドコモや他の携帯電話事業者のネットワークを利用した事業を展開するMVNO事業者は、大手企業が社内ベンチャー的に参入したものやその他のベンチャー企業を含め50社以上にのぼっています。しかしながら、ネットワークを保有する設備事業者であるNTTドコモが原価を下回る可能性の高い販売を行っていると、いかに新規の事業者が市場に参入しても、通信サービスにおける公正な競争は行われず、電気通信事業の健全な発達は著しく阻害されます。
- 電気通信事業分野においては、無線の周波数を付与された少数の携帯電話事業者のみがサービスを提供していた時代が長く、一種のカルテル経済にあったため、不公正取引について、これまで特段問題にされる事態にはならなかったのかもしれません。
- しかしながら、総務省のリーダーシップのもと、世界に先駆けて携帯電話網が開放された現在、そしてその結果、大手企業の社内ベンチャーやその他のベンチャー企業を含め多くの新規事業者が参入している今の日本の携帯電話市場において、市場経済に反する行為が許されるはずはありません。このような問題を放置すれば、携帯電話市場に新規参入しようとする事業者は現れず、また、既に参入しているMVNOをはじめとする事業者が公正な競争によらず事業の継続を断念せざるを得ないという、極めて大きな問題を引き起こします。
- 通信業界の健全な発達にとっては、通信設備、通信サービス、通信端末のそれぞれの分野で、自由で公正な競争が行われる環境を構築・維持することが不可欠です。携帯電話網の開放により、通信設備と通信サービスとの分離が既に始まっている日本においては、これを逆行させないためにも、各分野において公正な競争環境を構築することが喫緊の課題です。
- 現在の日本は、新規事業の創出によって、成長戦略を描くことが大きな課題となっています。日本が世界に先駆けて既に実現した携帯電話網の開放は、新規事業創出の最大の柱になりうるものであり、これを阻害する要因は、それがいかなるものであっても、断固として排除されなければなりません。当社は、この信念のもと、軋轢を
恐れず、自由で公正な競争環境の実現を目指してまいります。
- 4.当社の今後の業績への影響等
- 当社は、NTTドコモによる不当廉売及び差別的取扱いが疑われる販売手法が一日も早く収束し、法人向けサービスの分野において公正な競争環境が整うことを願っています。
- しかしながら、当社としてもこのような大きな問題が短期的に解決されるとは考えておらず、当面、法人向けサービスの分野において、公正な競争環境は期待できないものと想定せざるを得ません。
- したがって、当社は、本件の問題が解決し、法人向け市場において公正な競争環境が整うまでの間は、NTTドコモが事実上相対料金を提示することのできない、一般消費者向けサービスの市場に注力することとします。
- 既に、3月17日に発表し、4月5日に出荷を開始した新製品「b-mobileSIM(ビーモバイルシム)」は、月額2,000円台の定額使い放題のデータ通信サービスで、NTTドコモが提供する定額データ通信に比べて6割引の製品として、営業活動を開始しました。
- さらに、4月12日に発表した新製品、通称「定額ドッチーカ」は、USBデータ通信端末に3Gと無線LANスポットを、定額(月額換算3,000円程度)使い放題で利用できるもので、これも他事業者サービスに比べて半額以下の価格設定としました。
- 当社は、これらの製品に加え、今後も新製品を投入していくことで、NTTドコモや他の携帯事業者が利用者約款料金、いわゆるカタログ価格でしか提供できない一般消費者向けの市場において、価格訴求しやすい製品・サービスを投入してまいります。
- 当社は、以上の方針を今回の意見申出にかかる問題が解決するまでの間の対策とし、引き続き当社の成長戦略を推進してまいります。
■日本通信について
社名: | 日本通信株式会社(大証ヘラクレス市場:9424) |
代表者: | 三田聖二(代表取締役社長) |
設立: | 1996年5月24日 |
事業内容: |
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*インフィニティケア、bモバイル及び通信電池は日本通信株式会社の登録商標です。